お産をする施設がない村に分娩室を

PHJでは安全な分娩環境作り支援の一環としてタッコン郡ミャウッミェイ地域にサブセンターの建築を行っています。サブセンターは村にある唯一の一次医療施設で、人口三千から一万人に対して1施設の割合で建てられています。サブセンターには助産師と公衆衛生スーパーバイザーが1名ずつ配属され、一般診療から母子保健・公衆衛生サービスを提供しています。

ミャウッミェイ地域にあるインバコンサブセンターは数年前に建築されましたが、分娩室がありません。

この地域の出産は年間136件(2016年)。妊婦さんたちは遠く離れた病院や、自宅に助産師を呼んで出産をせざるを得ない状況です。
そこで、PHJでは日本NGO連携無償資金協力の支援を受けてインバコンサブセンターの分娩室の建設を行うことになりました。
タッコン郡保健局、村長、村人、建築会社から成る建築管理委員会が定期会議を行い、
建築の進捗具合を確認しています。また、外部の施工管理業者も入り、建物の質を定期的にチェックしています。

7月の完成に向けて着々と建築が進んでいます。

インバコンサブセンター分娩室の完成を村人は心待ちにしています。

ドラマを見ながら安全なお産を学ぶ

PHJでは村の妊婦さんや村人を対象に母子保健教育を2016年2月よりタッコン郡の農村部で行っています。
村の女性や村人に妊娠期や産後のケア、日常生活、異常兆候などの適切な知識を伝えることを目的に助産師が行っています。

今までは口頭やフリップチャートを用いての説明でしたが、新しい取り組みとして
ミャンマー保健省が制作した母子保健を題材にしたドラマを見てもらいました。
妊婦さんたちは大画面に映し出される映像に夢中になっていました。

ドラマの内容は、子だくさんの女性が妊娠するところから始まります。女性は助産師に出産時のリスクが高いからと病院での出産を勧められますが、自宅出産をし、出血多量で亡くなってしまいます。また、ドラマの後には分娩後や産後の異常兆候の説明もあります。
妊婦さんたちからは映像を見ながら学べるのでわかりやすいという声も聞かれました。
また助産師たちの間でも、評判が広がり自分が担当している村でも映像を使いたいという声も聞かれています。
今後も妊婦さんや村人が楽しく学べる母子保健教育を目指し、適切な知識が身につくように取り組んでいきたいと思います。

ブラジルのお産を見てミャンマーのお産について考える 

~女性が安心して出産できる環境作り~
2月下旬に北里大学の吉野先生を招聘し、ミャウッミェイ地域保健センター管轄で働く助産師・補助助産師と彼らを管理・監督しているタッコン郡保健局のスタッフを対象に、ブラジルのお産のビデオを見ながら「女性(妊産婦)中心のケア」について講義をして頂きました。ブラジルでは過去に妊婦の人間性を重視した母子保健プロジェクトがJICAによって実施されており、吉野先生は専門家として関わられていらっしゃいました。

PHJでは村の女性が安心して出産し、妊娠中から産後にかけて継続的な母子保健サービスを受けられるようにサブセンター(正式名はSub-Rural Health Center)という村にある一次医療施設の建築を支援しています。
先月の活動レポートでも報告させて頂いた通りで、サブセンターの建築当初には、物珍しさからか分娩件数が一時的に上昇しますが、その後の分娩件数の上昇には、そこに勤務する助産師の人柄、コミュニケーション能力、村人からの信頼度といった要素が関連し、分娩件数の継続的な上昇は簡単ではないというのが現状です。
そのため、産む女性の気持ちを考えながらケアを行うというケアの本質を学び、安心して出産ができる環境作りを目指すことを目的とし、今回の講義に至りました。
普段、他の国の出産を見たことがないミャンマーの医療スタッフにとって、ブラジルのお産のビデオは、とても興味深いようで、皆じっくりと見入っていました。

ビデオ鑑賞後に感想を聞くと「私たちもブラジルのようなケアをしたい。ミャンマーでは搬送システムの問題が大きいので、ブラジルのように出産までの間待機する施設があれば、緊急事態が起こったときに救急車で病院にすぐ搬送できるのでとても良いと思った。
一方でブラジルでも助産師が女性が安全で安楽に過ごせるように産婦にマッサージをするなどのケアを提供しており、ミャンマーと同様の配慮をしていることがわかった。」とのことでした。
ブラジルのお産のビデオを見ることで、自分たちが普段しているケアについても客観的に考えることができ、良い機会になったようでした。
ミャンマーの村のお母さんが、安心して安全に子どもが産める環境を整えられるように、
今後もPHJは支援していきます。

何もないサブセンターが、安心して産める場所になるまで。

PHJの活動地はミャンマーの首都ネピドーから車で約1時間半のミャウッミェイ地域保健センター管轄区に位置し、その中の全27村、人口約4万人に対して、村の末端にある一次医療施設(サブセンター)は合計6施設です。この一次医療施設は一般診療の他に分娩の役割も担っていますが、分娩室がない施設がほとんどで、中には助産師の家で診療を行っている場合もあります。

PHJの活動地の一次医療施設の一つであるニャオトンアイサブセンターは2016年6月に政府の予算で建築されましたが、患者用ベッドも分娩台も机も椅子など何もない状態でした。

政府から患者用ベッドなどが支給されるかわからない状態の中、サブセンターでの診療ができない日々が続きました。その間、助産師は自宅で診療を行っていましたが、分娩室はないため、この地域での分娩は、離れた地域の病院に行くか、自宅分娩をしており、村長や村人もこのサブセンターが稼働する日を心待ちにしていました。
そこでPHJでは、郡保健局や村長と話し合い、サブセンターが1日でも早く機能するように家具や必要な医療器具を揃え、2月上旬には助産師が移り住み、サブセンターでの診療を始めました。(注:医薬品は全て政府からの支給でPHJでは支援していません)


稼働してしばらくたった2月19日。朝9時ごろに、初めての赤ちゃんが誕生しました。出産した女性は、サブセンターから近隣の村から来た初産婦さんで、3㎏の元気な男の子を出産しました。

そして、この日を境に2月26日現在までに4件の新しい命が誕生しています。
今後は、建物の支援だけではなく、助産師の技術トレーニングや、住民への母子保健教育など、サブセンターが今後もこの地域の住民やお母さんと子供の健康増進に寄与できるようにPHJではサポートしていきます。

村の妊婦さんと助産師をつなぐ 母子保健推進員の選出に向けて

PHJミャンマーのプロジェクトでは、農村地域の母子保健サービス改善を目的に、ネピド―から車で約1時間半離れているタッコン郡ミャウッミェイ地域保健センター管轄を対象としています。その地域は人口37,174人、27村、地域保健センターが1つとサブセンターが5つあります。
10月から新たに始まったプロジェクトが前のプロジェクトと異なる点は、よりコミュニティと助産師の結びつきを強くするために母子保健ボランティアではなく、「母子保健推進員」を育成するという点です。
前回のプロジェクトではタッコン郡下の5村に合計50名の母子保健ボランティアを育成し、地域の妊婦さんや産後の女性に母子保健教育を行うことでした。しかし、ボランティアだけで母子保健教育を行うというのは難しさがあったこと、また、現在タッコン郡の農村部では妊婦さんや産後の女性の数の把握が受動的(妊婦側からの連絡に頼る)であるため、村の妊婦さんの数を正確に把握できているか定かではないという問題点もあり、もっとコミュニティに密着してお母さんや子どもたちをサポートする存在を育成できないかと考え、現プロジェクトでは「母子保健推進員」を育成することにしました。

この母子保健推進員は国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)がミャンマー保健省と共に定めたボランティアの一形態で、村の妊婦や産後の女性の所在を確認し、助産師と連携をはかり、妊婦や産後の女性が適切な時期にケアを受けることができるような役割を担っています。
母子保健推進員は1人が約5人の妊婦さんを受け持つ形でコミュニティに配置されるため、コミュニティにいる妊婦や産後の女性が漏れなく母子保健サービスを受けられるように助産師との橋渡し役となります。推進員の選出には村長はじめ、村の人々の協力が不可欠である為、PHJでは11月下旬から12月にかけて村々を巡回し、村長や村人にプロジェクトの説明や母子保健推進員の役割と選出についての説明を行いました。

村々をまわり、村の人から実際に話を聞くと、移住者が多く、妊婦さんを把握しにくい地域や、若い人が出稼ぎに多く出て行っている為、母子保健推進員の選出も難しい地域もあります。PHJミャンマーでは、村人の協力の元、母子保健推進員を選抜し、村のお母さんと子どもの健康のために貢献できる人材を育てていきたいと思います。
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新プロジェクトの会議「安全な分娩環境とは」

ミャンマーでは11月上旬に新しいプロジェクト活動地のミャウッミェイ地域保健センターで、主に助産師などの医療スタッフ10名と安全な分娩環境支援を行うための会議を開催しました。
「安全な分娩環境とは?」「施設分娩(サブセンター)・自宅分娩のメリットデメリット」を話し合ってもらいました。 ※サブセンターとは村にある一次医療施設で人口3千~1万人をカバーしています。サブセンターには助産師と公衆衛生スーパーバイザーの2名が配属されています。

ミャンマー政府は安全な分娩のため施設分娩を推奨していますが、村にはお産をできる十分な施設もなく、自宅分娩が主流です。(下記写真が自宅分娩の様子)

PHJの活動地でも全分娩のうち約半数が自宅分娩で、その9割が助産師介助による分娩です。
昔から根付いている伝統的な自宅分娩を施設分娩に移行するのは容易なことではありません。会議の話し合いの結果、安全な分娩環境とは「分娩過程において母児が困難を伴わないこと」「無菌であり清潔な環境」という意見でした。
また、施設分娩は、助産師が分娩経過を長く観察でき、産後も保健指導ができる一方、たくさんの家族が付き添えない、交通費がかかる、妊婦にとって分娩室の環境は慣れないなどが挙げられました。
自宅分娩では施設まで行かなくてもよい、家族が周りにいるので安心して過ごせる面がある一方、医療機器や薬剤が不十分なこと、助産師が分娩の全過程に付き添えないという意見があがりました。

今回は助産師側からの意見でしたが、妊婦さんたちはどう考えているのかを今後聞き取り、プロジェクトの活動に反映させていく予定です。
(下記写真は自宅と施設の出産のメリット・デメリットを表にして記載した様子)

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グローバルヘルス合同大会2017でポスター発表

11月24日~26日に東京大学本郷キャンパス内で開催されたグローバルヘルス合同大会2017にミャンマー事務所の志田が参加しました。
本大会ではPHJミャンマーの活動の一部である助産師の妊婦健診スキルチェックの結果についてポスター発表を行いました。

プロジェクトの活動地のタッコン郡の助産師が妊婦健診実施時に必要とされる技術は妊婦からの問診聴取であり、これは、妊娠中や分娩中にどういう合併症が起きる可能性があるか、助産師がきちんとアセスメントできていない結果から生じるものだと考えられること、今後はリスク・アセスメント能力の強化や、ハイリスク妊産婦の早期発見、管理の教育を継続的に行うことや、定期的なモニタリングの体制を確立できるように関わっていくことを発表しました。
20名ほどの方が集まって聞いてくださり、発表後は調査の方法について質問していただくなど、発表内容について関心を持っていただきました。

国際保健に関わる学会で発表することによって、PHJの認知度が高まり、多くの方々に活動が知られる機会になることを願っています。

新期プロジェクトに関する説明会の開催

PHJミャンマーでは2015年から3ヶ年計画でタッコン郡(人口約21万人)を対象に母子保健改善事業を行ってきましたが、2017年8月を以て終了となりました。
(プロジェクトの内容はこちらを参照)
10 月中旬の新期プロジェクト開始にあたり、9月末に説明会をタッコン郡保健局にて行いました。
参加者はタッコン郡保健局の責任者である院長始め、プロジェクト対象地の助産師などの医療スタッフが集まりました。

会議では、プロジェクトの内容やプロジェクトの目指すゴール、実際の活動や活動の担当者、プロジェクトが活動地にもたらすメリットについての説明を行いました。

タッコン郡院長からは、「PHJはタッコン郡の健康状況を改善するために、継続的に支援してくれている。私たちが忙しい時でも、結束し今日のように活動を成し遂げるべきである」と前向きな発言がありました。

彼らの協力なくしてはプロジェクトのゴールである母子の健康状態の改善は達成できません。プロジェクトが終了した後も彼らの力で継続して行っていけるように、政府の職員や地域のコミュニティーの人々と一緒に新しいプロジェクトを行っていきたいと思います。

【新期プロジェクトの概要】
2014 年8 月から実施したタッコン郡での活動の成果と課題を元に、2017 年10 月より「農村地域の母子保健サービス改善事業」を実施します。これまでの活動で現地カウンターパートとの信頼関係構築やハード・ソフトの両面からニーズに応じた支援ができた一方で、教育支援の対象範囲が広くアプローチが困難だった部分がありました。そこで対象エリアをタッコン郡内のミャウッミェイ地域保健センター管轄エリアに絞り、妊産婦(推定)565 名/ 年と乳児、助産師7 名、補助助産師6 名、母子保健推進員約130 名を対象とした活動を実施する予定です。

2つの村で最後の母子保健教育

PHJは2016年8月から1年間ノイエ村とキンタ―村で妊婦や産後の女性を対象に、助産師が常駐する村の一次医療施設であるサブセンターや村で、母子保健知識の普及を目的に母子保健教育を毎月開催してきました。
次期プロジェクトの開始にともない、PHJ支援によるノイエ村、キンタ―村での母子保健教育は2017年8月が最後となりました。
今まで母子保健教育を受けた人は、両村合わせて169名になります。

ノイエ、キンタ―各村で10人の老若男女を含めた母子保健ボランティアを育成し、母子保健教育開催の際は妊婦や産後の女性に声をかけたり、実際に教育を行ったりもしていました。


また、母子保健教育開催日だけではなく、村に助産師が予防接種やデング予防などに行く際にも、協力したりと幅広く活動していました。
ノイエ村では母子保健教育の後に、助産師と母子保健ボランティアが話し合い、今後も毎月妊婦を対象にした集団教育を開催していくこと、教育の際は母子保健ボランティアが妊婦を集めることを決定しました。
キンター村では、今まで通り母子保健ボランティアが村での助産師の仕事を手伝うことを取り決めました。
助産師や母子保健ボランティアの力で活動をその村にあった形で継続して行っていき、PHJが支援した活動が現地に根付くことを期待しています。

新築のサブセンターで産声があがる。

2017年6月下旬に新しく建設されたミャイエサブセンター。
サブセンターとは村の一次医療施設であり、人口約3千~1万人をカバーしています。
サブセンターには助産師と公衆衛生スーパーバイザーⅡが1名ずつ配属され、一般診療から母子保健サービス、予防接種などの公衆衛生活動の役割を担っています。
もちろんサブセンターには分娩施設も備えており、
開設してから今までに6件ものお産がありました。(2017年8月17日現在)
PHJでは、ミャイエサブセンター開設前からこの村での母子保健教育を始めていました。
その甲斐もあって、ミャイエサブセンターで出産した6名の女性のうち、4名の女性が母子保健教育を受けており、さらに、2名は2回も受講していました。

新築されたミャイエサブセンターでの母子保健教育は7月から始まっています。
7月は15人の妊婦さんが、8月は14人の産後のお母さんたちが集まり、母子保健ボランティアの説明に熱心に耳を傾けていました。

助産師を監督する立場である婦人保健訪問員も同行し、妊娠中の生活上の注意点、お産の準備、栄養についての講義を行いました。

母子保健教育の後は分娩室の見学を行いました。

今後も母子保健教育を続けることで、村の女性たちが的確な知識を持ち、安全なお産ができるようにPHJはサポートしていきたいと思います。


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