保健行政区は地区内の保健センターを管理監督する保健機関であり、保健行政区の能力向上が保健センターのマネジメント・保健サービス向上につながります。
今回、PHJの活動地であるストゥントロン保健行政区のスタッフが、特別行政機関(SOA)に指定されているタケオ州のアンロカ保健行政区にてマネジメント研修を行いました.
研修には、ストゥントロン保健行政区長を含む行政区のスタッフ4名と、専門家とPHJスタッフが参加しました。
今回のスタディツアーではアンロカ保健行政区スタッフにより組織マネジメント(チームワーク)の重要性が強調されました。
SOA:Special Operating Agency 国の評価基準を満たしている行政機関
研修では、保健省の定めたガイドラインに沿ったアンロカ保健行政区のマネジメント力向上の経験とノウハウについての講義を受けました。さらに、アンロカ保健行政区の母子保健担当スタッフからも日々の母子保健マネジメントについて具体的な方法を教えてもらいました。その内容は、現在ストゥントロン保健行政区で課題となっている情報収集の仕方、記録や報告の仕方に関するもので、質疑応答も活発に行われました。
その後、アンロカ保健行政区の地方病院を訪問。ストゥントロン保健行政区長が真剣な表情で見学しました。
ヘンティ医師(病院長)は、「20年前には、病棟と外来の建物しかなく、電気も無い中、患者が溢れていました。コレラの患者が来ても隔離する場所さえありませんでした。今は、十分な施設が整い、スタッフも交代で24時間医療サービスを提供できています。」と、年月をかけて発展してきた経緯を教えてくれました。
「患者さんが憩える場所を作るために15年前に周囲に小さな苗木を植えました。その木が大きくなり木陰が生まれ憩いの場となったように、私達も成長してきました。」と、これまでの地道な活動を話してくれました。
さらにアンロカ保健行政区管轄の保健センターを訪問しました。
地域住民から高い評価を受けている保健センターをどのようにして作り上げていったのか、工夫したことや苦労話を保健センター長から直接伺うことができました。
なかでも、カンボジアでは軽視されがちな患者に対するホスピタリティーも保健センターの評価に大きくかかわるといった話が印象的でした。
アンロカ保健行政区の保健センターマネジメントの責任者である、チャンナリー医師は、第一線で努力を続ける保健センター長やスタッフ達への労いと感謝の意を表していました。このようなマネジメント側の何気ない行動や態度がストゥントロン保健行政区長やマネジメントスタッフにとって印象付けられた学びに繋がりました。
ツアー後にはストゥントロン保健行政区マネジメントスタッフは責任感、リーダーシップ、協力・連帯感を今まで以上に重視して活動をしていきたいと意気込みを話してくれました。