グイピン村サブセンターの誕生

グイピン村に、サブセンターと呼ばれる一次医療施設が完成しました。

これまで、このサブセンターの管轄地域にあった医療施設は築約40年の助産師さんの家のみで、そこは窓にガラスもない、分娩室もない環境でした。
そのため、この地域の出産は助産師の介助のもと妊婦さんの自宅で行われることが多く、資格のない伝統的産婆の介助による出産もまだ残っていました。
そこでPHJでは、安全なお産のための丈夫で衛生的な医療施設を確保するべく、タッコン郡保健局と協力し、今回のサブセンターを完成させました。
(日本NGO連携無償資金協力の支援によるものです)

サブセンターの寄贈式

医療施設として必要な乳幼児用体重計や分娩台などの機器も寄贈し、医療設備が整いました。

分娩室の新生児用体重計

寄贈式の後には、グイピン村の村人たちが村の畑で採れた新鮮な野菜や豆を使ったミャンマー料理を用意してくれ、参列者みんなで囲んでお祝いをしました。
村中の人が、サブセンターの誕生を心からお祝いし、喜んでいる様子が感じられました。
サブセンターの土地は、グイピン村の村人から政府へ譲渡してもらったものです。
地主の方は、「経済状況に関係なく、老若男女すべての人が使うことのできる施設のために」との思いで土地を寄付してくださいました。
政府、村人、医療者すべての人が力を合わせて完成したサブセンターが、村人の健康を守る大切な場所になるよう、PHJはこれからも支援していきます。

ボランティアさんに自転車を寄贈

ストゥントロン保健行政区長主催による「保健ボランティア並びに母子保健ボランティアへの自転車(109台)贈呈式典」が、郡長であるトゥン・ネット氏を迎えて開催されました。保健ボランティア・母子保健ボランティアは猛暑や大雨の中でも村びとの健康のために精力的に活動を行っています。公共交通機関が十分発達していない当地のボランティア達にとって、活動のための移動手段確保が予てより課題になっていました。PHJではこれを解決するためにボランティア達に自転車を109台贈呈することにしました。

式典は8月14日7時半からストゥントロン保健行政区で、PHJが活動を行っている4つの区の保健センター長、そして保健ボランティア・母子保健ボランティア100名以上が出席して行われました。

郡長はスピーチの中でPHJの貢献に対して感謝の意を表し、これからもPHJの活動に協力することを約束してくれました。

保健行政区長はスピーチの中で自転車贈呈だけでなく、保健センターやボランティア達に対する日ごろのPHJによるテクニカルサポート面の貢献も賞賛してくれました。また、ボランティア達には自転車を大切に使いよくメンテナンスすること、そして自転車を使ってよりコミュニティーに貢献することを期待すると話されました。
ボランティア達は区毎に、一人ひとり順番に自転車を受け取りました。
たくさんのボランティア達が笑顔で帰っていきました。
PHJはこれからも保健ボランティアと母子保健ボランティア達の活躍を応援していきます。

妊産婦の身近で頼もしい存在「補助助産師」の研修

ミャンマーのタッコン郡には現在35名の補助助産師がいます。
補助助産師は6ヶ月の研修を受け、自分たちが居住する村で助産師の指導・監督のもと、無給で働く医療スタッフです。
村の妊産婦の健康相談に乗ったり、地域の助産師へつないだりするほか、助産師が不在の時には分娩介助を単独で行うこともあります。
そのため、補助助産師の知識や技術の質を維持することはとても重要です。
PHJでは、2016年からタッコン郡保健局と協力して補助助産師の卒後リフレッシュ研修を定期的に行い、彼らの知識と技術の質を維持することができるよう支援しています。

タウンシップ保健師長からのフィードバックを真剣に聞く参加者

今回の研修は、妊産婦健診や妊娠中の危険兆候、予防接種についての講義に加え、分娩介助実習を含めた内容でした。
天候の悪い中、悪路を片道3~4時間かけてバイクで来ている参加者や、前夜に村の妊婦さんが出血して
急遽町の大きな病院へ搬送するといった手配に追われ、睡眠不足のなか参加した人もいました。

分娩実習を実施する参加者

実習では胎児モデルを使用し、タウンシップ保健師長の指導・監督のもと、スキルチェックを行っていきます。
参加者同士で声を掛け合って間違いを正したり、不足を補い合ったりして、皆、真剣です。
参加した補助助産師からは、
「妊産期の危険兆候や全身の健診方法などの正しい知識を改めて確認できてとても自信がついた。」
「実習で自分の間違いを見つけて直すことができた。」といった声がありました。
各村で村民と居住を共にしながら活動する補助助産師は、村の人たちにとってとても身近で頼もしい存在です。
自身の知識と技術をアップデートした彼らが、より一層村の住民に寄り添う存在でいられるよう、これからも支援していきます。

カンボジア コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業

カンボジア コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業
(期間:2018~ 対象地域:コンポンチャム州)

PHJはコンポンチャム州で2014 年から妊娠・出産・産後期を中心に保健センターでの母子保健サービスを強化し利用増を促進する活動を実施してきました。しかし、村での活動を実施する中で5 歳未満の子供の健康問題が顕在化。男女ともに完全母乳育児期が終わり、離乳食が始まる6 ヶ月を境に低栄養の割合が増加し、特に1歳から2 歳未満の男児では低体重26.0%、低身長19.5% でした*。「低栄養」は子どもたちが病気にかかるリスクを高めるだけでなく、成長に及ぼす負の影響は生涯に渡り続くといわれています。
*岩本、他、「カンボジア国コンポンチャム州における子どもの慢性低栄養の男女差」、2016

活動内容

本事業は、保健センタースタッフと村のボランティアが支援ネットワークを形成し、地域の子どものケアに関する知識普及や実践促進を行うことにより、5 歳未満児の予防可能な死亡を削減しつつ、健康な成長発達が促進されることを目的とします。子どもの栄養改善など健康増進や疾病予防に対する地域住民の関心を高めて家庭でのケア実践の増進を狙いとしています。
保健センターでの予防接種、成長モニタリングなどの健診や小児疾病管理の保健サービスを提供できる体制づくりをコミュニティの参画のもとに推進します。

活動レポート

2018/7/26
2018/6/27
2018/4/26
2018/3/29

母子保健ボランティア 産後検診啓蒙のためのトレーニング

現在、PHJカンボジアでは2歳以下の子どもの健康を支えるためのネットワークづくりをしていますが、この事業のなかで母子保健ボランティアは村の妊産婦を直接支援する役割を果たします。
活動の中でも目標とされている家庭での子供の健康に関する知識や意識を高めるためにはなくてはならない存在で、妊婦健診や産後検診といった産前産後のケアの啓蒙や栄養教育といった活動の核になります。
7月はじめの4日間、ピアムゴッスナー母子保健ボランティアの第2回初期トレーニングを開催しました。今回のトレーニングは、6月末に行った第1回初期トレーニング「妊婦健診サービスについて」の続きです。
「産後検診サービスについて」が今回のトレーニング内容で、13人の母子保健ボランティアが参加しました。
比較的大人数だったので、会場として保健センター近くの学校の教室をお借りしました。
学校の校長先生は活動にとても理解を示してくれ、快く教室を貸してくれました。
ファシリテーターとして保健局の医者と看護師が参加しました。

産後検診の大切さについての講義、新生児と母親の健康状態の評価方法、体温計の使い方、家庭訪問の仕方などが主なトレーニング内容でした。

最終日は実技です。グループに分かれて近くの村に行き、出産したばかりの女性へ家庭訪問をします。

保健局の医者と看護師の指導のもと、参加者全員が家庭訪問の実演をしました。
母子保健ボランティアが、フリップチャートの教材を利用しながらわかりやすく説明しています。


最後は、参加者13人の母子保健ボランティアへ救急箱、教材、バッグを贈り、トレーニングは終了しました。

タッコン郡3回目の助産師卒後教育の実施

ミャンマーの助産師は高等教育修了後、助産師学校で2年間の専門教育を受けた後、政府職員として採用され、村の一次医療施設のサブセンターに配属されます。
しかし、助産師学校を卒業してから、政府職員として採用されるまで、待機期間があることが現状です。
また、助産師として配属された後も定期的なトレーニングを受ける機会にあまり恵まれていません。
そのためPHJでは、2017年から活動地であるタッコン郡の助産師を対象に、郡保健局のスタッフを講師に迎えて定期的にトレーニングを行っています。
今回が3回目となるトレーニングでは、妊婦健診・分娩介助・産後検診・家族計画などの基礎的な知識や技術の他に、産後出血時の対応や新生児蘇生法などの緊急時の対応も学びました。
助産師から、講義よりも実演や模型を使った練習の方が身に着くという意見があったことから、トレーニングは講義と演習とを約半分ずつの構成とし、5日間実施しました。

会陰縫合術を学ぶ参加者
パルトグラム(分娩経過表)の演習

講師に質問したり、休み時間にも練習したりと参加者の熱心な様子が見られました。
今回トレーニングに参加した、カンターサブセンター助産師のメイジントゥンさんの感想です。
「2016年に他の地域で緊急産科ケアのトレーニングを受けてから、この地域に異動になり、この地域(タッコン郡)で初めて母子保健のトレーニングを受けました。
トレーニングでは、パルトグラム(分娩経過表)の書き方を学ぶことによって、自分のミスに気が付くことができました。」

カンターサブセンター助産師 メイジントゥンさん

PHJは、助産師が適切な技術や知識を維持・向上することで、多くの母と子の健康に寄与できることを望んでいます。

※この活動は八神製作所様、日本NGO連携無償資金協力のご支援の元、実施しています。

フードデモンストレーション(離乳食の調理実習)を実施しました。

5月下旬にクポッタゴン区のプレック・トゥク村でフードデモンストレーションを行いました。
村の母子保健ボランティアの自宅をお借りして、乳児を持つお母さんたちを対象に栄養のある離乳食のお粥の調理実習をしました。


PHJスタッフと母子保健ボランティアの指示のもと、お母さんたちが調理に参加しました。

お粥を待つ子供たち

離乳食のお粥完成です。
お米のほか、緑野菜、カボチャ、サツマイモ、魚、卵、豆腐など、栄養価の高いものが入っています。

子供たちのほとんどがお代わりをしました。


参加者全員で試食しました。大人にも好評な味でした。

最後に、PHJスタッフが乳児に必要な栄養に関する講義をしてフードデモンストレーションは終了しました。
今まで栄養のあるお粥を作りたいと思っていたけれど作り方を知らず、今回の実習で学べてよかったとお母さん達から感謝の声をいただきました。

保健ボランティア向けに母子保健の研修を実施しました

5月上旬の2日間で、ピアムゴッスナー保健センターにて保健ボランティア(VHSG)向けに母子保健の研修を実施しました。保健センターの看護師と助産師がファシリテーターとして妊婦管理、産後ケア、出産間隔、予防接種、衛生について講義しました。
ピアムゴッスナーの保健ボランティア18人中15人が参加しました。風も扇風機もない猛暑日でしたが、保健ボランティア達は辛抱強く暑さに耐えながら最後まで研修を受けていました。
看護師、助産師とPHJスタッフで研修前の段取りと教材についての説明をしている様子。

猛暑の中、保健ボランティアが集まってくれました。

チェイフール看護師はたまにジョークを混ぜながら講義し、和気あいあいとした雰囲気で研修が行われました。

予防接種の講義。

セング助産師による出産間隔の講義。

研修の最後に、PHJが作成した保健に関する冊子を一村に一部贈呈しました。


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