ドラマを見ながら安全なお産を学ぶ

PHJでは村の妊婦さんや村人を対象に母子保健教育を2016年2月よりタッコン郡の農村部で行っています。
村の女性や村人に妊娠期や産後のケア、日常生活、異常兆候などの適切な知識を伝えることを目的に助産師が行っています。

今までは口頭やフリップチャートを用いての説明でしたが、新しい取り組みとして
ミャンマー保健省が制作した母子保健を題材にしたドラマを見てもらいました。
妊婦さんたちは大画面に映し出される映像に夢中になっていました。

ドラマの内容は、子だくさんの女性が妊娠するところから始まります。女性は助産師に出産時のリスクが高いからと病院での出産を勧められますが、自宅出産をし、出血多量で亡くなってしまいます。また、ドラマの後には分娩後や産後の異常兆候の説明もあります。
妊婦さんたちからは映像を見ながら学べるのでわかりやすいという声も聞かれました。
また助産師たちの間でも、評判が広がり自分が担当している村でも映像を使いたいという声も聞かれています。
今後も妊婦さんや村人が楽しく学べる母子保健教育を目指し、適切な知識が身につくように取り組んでいきたいと思います。

正しく説明できてる?母子保健ボランティアの家庭訪問

母子保健ボランティアによる家庭訪問をモニタリングしました。
この家庭訪問は母子保健ボランティアが妊産婦さんを訪問して保健知識の強化や意識改善を図る大切な活動であり、母子保健ボランティアが正しい知識をしっかり説明できているかPHJスタッフがチェックしました。
モニタリングは妊娠期と産後の2種類があり、3村で20人の母子保健ボランティアを対象となりました。
▼妊婦さんに説明する母子保健ボランティアをモニタリング


▼産後の家庭を訪問し新生児のケアについて説明しているところ

モニタリングをする中で健康を損なう恐れのある伝統的医療を続けているケースも確認され、今後も母子保健ボランティアと協力して正しい知識を普及していくことの重要性が感じられました。
今回モニタリングを行った母子保健ボランティアの保健教育スキルは妊婦健診、産後検診ともに高得点でした。
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栄養トレーニングでお粥づくり

子供の健康な成長支援(パイロット事業)の活動が始まっています。
この事業は生まれてから2歳までの子供達が質の良いケアとコミュニティのサポートで、
健康な成長と発達を遂げることを目標としています。
このコミュニティを支える核となる母子保健ボランティアを対象に
栄養に関するトレーニングを実施しました。
州保健局の担当者や保健行政区の母子保健担当者 合わせて3名がトレーナーとなり、2日間にわたり講義と実習が行われました。

講義は質疑応答を交えながら和気あいあいと

2歳以下の子供とその母親への教育内容で
1日目は「栄養や食品、母乳栄養や衛生に関する講義」
2日目は、「栄養豊富な食品について、生活における衛生、食品の安心について、栄養豊富な食事の作り方について」でした。

手洗いの正しいやり方を実践

2日目の栄養豊富な食事の作り方については、6か月児へのお粥の作り方の調理実習を参加者全員で行いました。

魚と肉の2種類のベースを作った。 肉は塊肉をひき肉にするところからスタート
協力して様々な食材をみじん切りに
お粥の出来上がり

参加者は熱心に講義に耳を傾け、意見を述べたり質問をしており、調理実習でも協力して調理工程をこなしていました。
参加者の事前テスト平均は45.5点、事後テストは84.9点で、知識もしっかりと身についたことが確認できました。

参加した母子保健ボランティアの皆さんたち

ブラジルのお産を見てミャンマーのお産について考える 

~女性が安心して出産できる環境作り~
2月下旬に北里大学の吉野先生を招聘し、ミャウッミェイ地域保健センター管轄で働く助産師・補助助産師と彼らを管理・監督しているタッコン郡保健局のスタッフを対象に、ブラジルのお産のビデオを見ながら「女性(妊産婦)中心のケア」について講義をして頂きました。ブラジルでは過去に妊婦の人間性を重視した母子保健プロジェクトがJICAによって実施されており、吉野先生は専門家として関わられていらっしゃいました。

PHJでは村の女性が安心して出産し、妊娠中から産後にかけて継続的な母子保健サービスを受けられるようにサブセンター(正式名はSub-Rural Health Center)という村にある一次医療施設の建築を支援しています。
先月の活動レポートでも報告させて頂いた通りで、サブセンターの建築当初には、物珍しさからか分娩件数が一時的に上昇しますが、その後の分娩件数の上昇には、そこに勤務する助産師の人柄、コミュニケーション能力、村人からの信頼度といった要素が関連し、分娩件数の継続的な上昇は簡単ではないというのが現状です。
そのため、産む女性の気持ちを考えながらケアを行うというケアの本質を学び、安心して出産ができる環境作りを目指すことを目的とし、今回の講義に至りました。
普段、他の国の出産を見たことがないミャンマーの医療スタッフにとって、ブラジルのお産のビデオは、とても興味深いようで、皆じっくりと見入っていました。

ビデオ鑑賞後に感想を聞くと「私たちもブラジルのようなケアをしたい。ミャンマーでは搬送システムの問題が大きいので、ブラジルのように出産までの間待機する施設があれば、緊急事態が起こったときに救急車で病院にすぐ搬送できるのでとても良いと思った。
一方でブラジルでも助産師が女性が安全で安楽に過ごせるように産婦にマッサージをするなどのケアを提供しており、ミャンマーと同様の配慮をしていることがわかった。」とのことでした。
ブラジルのお産のビデオを見ることで、自分たちが普段しているケアについても客観的に考えることができ、良い機会になったようでした。
ミャンマーの村のお母さんが、安心して安全に子どもが産める環境を整えられるように、
今後もPHJは支援していきます。

何もないサブセンターが、安心して産める場所になるまで。

PHJの活動地はミャンマーの首都ネピドーから車で約1時間半のミャウッミェイ地域保健センター管轄区に位置し、その中の全27村、人口約4万人に対して、村の末端にある一次医療施設(サブセンター)は合計6施設です。この一次医療施設は一般診療の他に分娩の役割も担っていますが、分娩室がない施設がほとんどで、中には助産師の家で診療を行っている場合もあります。

PHJの活動地の一次医療施設の一つであるニャオトンアイサブセンターは2016年6月に政府の予算で建築されましたが、患者用ベッドも分娩台も机も椅子など何もない状態でした。

政府から患者用ベッドなどが支給されるかわからない状態の中、サブセンターでの診療ができない日々が続きました。その間、助産師は自宅で診療を行っていましたが、分娩室はないため、この地域での分娩は、離れた地域の病院に行くか、自宅分娩をしており、村長や村人もこのサブセンターが稼働する日を心待ちにしていました。
そこでPHJでは、郡保健局や村長と話し合い、サブセンターが1日でも早く機能するように家具や必要な医療器具を揃え、2月上旬には助産師が移り住み、サブセンターでの診療を始めました。(注:医薬品は全て政府からの支給でPHJでは支援していません)


稼働してしばらくたった2月19日。朝9時ごろに、初めての赤ちゃんが誕生しました。出産した女性は、サブセンターから近隣の村から来た初産婦さんで、3㎏の元気な男の子を出産しました。

そして、この日を境に2月26日現在までに4件の新しい命が誕生しています。
今後は、建物の支援だけではなく、助産師の技術トレーニングや、住民への母子保健教育など、サブセンターが今後もこの地域の住民やお母さんと子供の健康増進に寄与できるようにPHJではサポートしていきます。


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