2つの村で最後の母子保健教育

PHJは2016年8月から1年間ノイエ村とキンタ―村で妊婦や産後の女性を対象に、助産師が常駐する村の一次医療施設であるサブセンターや村で、母子保健知識の普及を目的に母子保健教育を毎月開催してきました。
次期プロジェクトの開始にともない、PHJ支援によるノイエ村、キンタ―村での母子保健教育は2017年8月が最後となりました。
今まで母子保健教育を受けた人は、両村合わせて169名になります。

ノイエ、キンタ―各村で10人の老若男女を含めた母子保健ボランティアを育成し、母子保健教育開催の際は妊婦や産後の女性に声をかけたり、実際に教育を行ったりもしていました。


また、母子保健教育開催日だけではなく、村に助産師が予防接種やデング予防などに行く際にも、協力したりと幅広く活動していました。
ノイエ村では母子保健教育の後に、助産師と母子保健ボランティアが話し合い、今後も毎月妊婦を対象にした集団教育を開催していくこと、教育の際は母子保健ボランティアが妊婦を集めることを決定しました。
キンター村では、今まで通り母子保健ボランティアが村での助産師の仕事を手伝うことを取り決めました。
助産師や母子保健ボランティアの力で活動をその村にあった形で継続して行っていき、PHJが支援した活動が現地に根付くことを期待しています。

母子保健ボランティア育成 4日間集中トレーニング

2か所の保健センターで4日間の母子保健ボランティアの育成トレーニングを開催しました。
トレーニングの内容は、女性の産後ケアや新生児ケアの知識と家庭訪問時の保健教育のためのスキル、レポート作成や保健教育の実践を織り込んだものです。
州保健局からトレーナーを招き、保健行政区母子保健担当者や保健センター助産師も同席しました。
▼講師が家庭訪問時のレポートの書き方についての説明をしているところ

▼ボランティアが、産後の家庭訪問を想定した保健教育の実践を
保健センターで前日出産した女性に対し行っているところ

▼ゲームでトレーニング合間にリフレッシュ

▼オームルー保健センターの参加者との集合写真

どちらの保健センターでも参加者は集中して講義を受け、母子保健ボランティアの役割を学ぶにつれ、より責任感をもって取り組む様子が見られました。
参加できなかった母子保健ボランティアには個別訪問し、継続の意思を確認しながら、今回の講義のフォローアップをしていきます。

助産師連携会議の開催

助産師のスキルアップに向けて情報共有や研修を行う「助産師連携会議」が、5月18,19日にストゥントロン行政区会議室にで行われました。
両日で、管轄エリア内の保健センター所属の30名の助産師のうち27名が会議に参加しています。
まず、保健行政区の母子保健担当者からは、通常の業務の観察をもとに、特に感染管理(手洗いの徹底、滅菌管理)、妊婦照会時の情報伝達の方法、分娩記録の正しい記載の徹底などが課題となっていることが報告されました。

チームワーク改善を考えてもらうため、チームワーク強化を狙ったゲームも実施しました。

分娩記録の正しいつけ方の演習も行っていました。

事例を使って、各自配られた記録表に記載する練習をしているところ。

この会議の内容が助産師さんたちの普段の業務によりよく反映されればと思います。

助産師の卒後教育トレーニングを実施中

ミャンマーの助産師は助産師養成校を修了後に村の一次医療施設であるサブセンターに配属されます。新人であってもすぐに即戦力として働かなければならず、新人助産師の中には、学生時代に分娩を一件も介助することなく、現場に出ることになってしまう助産師もいます。周囲には頼れる先輩もほとんどいなく、自分一人で判断していかなければなりません。そして、助産師の卒後教育もままならないのが現状です。

(自宅分娩で赤ん坊を取りあげた助産師)
PHJでは2017年5月中旬より、タッコン郡の全助産師約41名を対象とした5日間の助産師トレーニングを5回に分けて行っています。
このトレーニングは2016年から約1年間に渡って行った助産師のスキルチェックの結果を基に構成されています。
妊婦健診や産後検診に関する項目で半分以下の助産師ができていなかった知識や技術の項目を復習することを目的としています。
さらに、このトレーニングでは講義に加え、演習にも力を入れています。模型を用いて分娩介助技術や新生児蘇生法のスキルチェックも行いました。

(分娩後の傷の観察方法について説明する産婦人科医)
休憩時間に、模型を使って分娩介助の練習を繰り返し行う熱心な助産師もいました。

(新生児蘇生法の講義)
研修を受けた助産師からは「産後出血時の対応や呼吸停止の新生児蘇生の演習を受けたことで、こうした緊急事態に対して自信がつきました」との声が聞かれました。

彼女たちが現場に戻った時に実際にどの講義や演習が役に立ったかをヒアリングしていきたいと思います。
>>本活動を支援する助産師教育募金へ

准助産師のスキルを確認

保健センターにて准助産師の妊婦健診、家族計画、産後検診・乳児健診のスキルをチェックリストをもとに
確認しました。
保健行政区の母子保健担当者ととも准助産師のスキルをチェックします。

・准助産師さんによる妊婦健診

・准助産師による産後の子宮復古(分娩後に子宮が妊娠前の状態に戻ること)の観察の様子

・准助産師さんによる産後検診の様子

・産後のお母さんたちへの説明を行う准助産師さん

トレーニングの実施や毎月のモニタリングにより、
妊婦健診や家族計画サービスのスキルは一定水準以上のレベルを保てるようになってきました。
現在は産後検診/乳幼児健診の際の、赤ちゃんの観察やアセスメントが課題です。
PHJでは現場の准助産師の習熟度に合わせて、チェックリストを改訂するなど、モニタリングの質強化にも努めています。


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