産後の母子ケアにむけた取り組み

産後の母子の健康改善を目的とした取り組みの中で、産後検診の受診を促進するために、産後検診を受診した産婦に配布する子育てキット計597個を保健センターに寄贈しました。その後、実際に産婦さんに配られています。産後検診を進めることで、母実施健康における異常の早期発見及び早期の適切な治療が期待されます。子育てキットの内容は、タオル、腰巻、ベビーパウダー、ベビーソープ、爪切りで、主に生まれた赤ちゃんの衛生状態を保ち、感染症の予防を目的としています。

また、保健センターの管轄村内で活動する保健ボランティアを支援するために、充電式懐中電灯を計109個寄贈しました。充電式懐中電灯により夜間の急な相談や暗い部屋でのケアの際の光源となります。太陽光で充電できるため、長期的に繰り返し活用できます。

【本事業は、成田コスモポリタンロータリークラブからのご支援により実施しています。】

ボランティアの能力強化2_離乳食の調理実習

前回報告しました保健・母子保健ボランティア対象にとした能力強化研修 2日目の調理実習の様子を報告します。


当初より予定していた離乳食の調理実習を含めた栄養改善の取り組み。2020年7月に医療者対象のSAM・栄養研修の際に、近隣に住む養育者の子どもの腕回りを測り栄養状態を確認する実習を行いました。すると、ほとんどの子どもが栄養失調状態と判明し、栄養改善のための取り組みの必要性を再認識しました。

栄養状態を改善する取り組みとして、子どもの栄養に関する保健教育と、栄養たっぷりの離乳食の調理実習を村で実施することとなりました。今回は事前の演習として実際に村で離乳食の調理実習をしました。

一部の材料をその場で調達。

 

ガスは通っていませんので、炭から火をおこします。

実食。この赤ちゃんは離乳食を食べるのが今回初めてでした。

また、午後は、コロナ感染対策についての衛生教育も行いました。

村での保健教育用の栄養、衛生、小児ケアに関するポスターを配布しました。

 

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実しています。】

誰一人取り残さないために― ボランティアの能力を高める

PHJでは、コミュニティと保健センターの架け橋となる「保健ボランティア・母子保健ボランティア」の能力強化をしています。
彼らは、コミュニティの健康改善のために自らボランティアとなり、地域住民に対して保健教育や啓発活動を行い保健知識の向上に貢献しています。
特に新型コロナウイルス感染拡大が続くいま、地域住民に感染予防の保健教育を効果的に実施できるのは、コミュニティの一員で住民から信頼されているボランティアたちです。
保健教育の要である保健・母子保健ボランティア対象にとした能力強化研修を、ピアムゴッスナー保健センターで9月末に実施しました。

正しい手洗いの方法を実演
研修会場のピアムゴッスナー保健センター

研修や大規模の会議が禁止されているものの、州保健局がボランティアへの研修の重要性を理解し、開催実現に協力してくださいました。
研修テーマは、「子どもの栄養とコロナ感染防止対策を含めた衛生」。
少人数に抑えるため参加者は2つのグループに分け、各二日間の研修開催しました。
1グループは11名、もう一つのグループは9名の保健・母子保健ボランティアが参加しました。
ファシリテーターは州保健局スタッフ2名が担い、オブザーバーとして保健行政区の母子保健担当、州保健局スタッフが各1名参加しました。

1日目の内容は、母乳育児や栄養素、離乳食の作り方を含めた子どもの栄養教育、そして、手洗いなどの衛生教育でした。
2日目については次回のレポートで、報告します。

コロナ禍での研修で、不安もあったと思いますが、ボランティアのみんなは常に明るく時には冗談に笑いながら学んでいる姿をみて カンボジア人の力強さを感じました。
困難な時だからこそ、誰一人取り残さないためにボランティアさんの活躍が必要です。

各ボランティアに、布マスク2枚と消毒液1本配布。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

継続は力なりー医療者の定期的な技術指導サポート実施―

講義を1回受けただけで、その内容を理解し、身につくという人は一体どれだけいるでしょう?
PHJでは医療従事者、主に保健センタースタッフの能力強化・向上のため、研修を実施しています。
しかし、1回の研修だけではスキル・知識の維持が難しい、忘れてしまう、という声が参加者や関係者から上がっていました。

そこで、再研修やコーチングの実施などと共に、定期的な技術指導サポートを行っています。毎月1回、講師となる保健行政区スタッフが対象保健センターに赴き、保健センタースタッフが実際に来院者を診ている現場で直接指導しています。指導後、保健行政区スタッフは、保健センタースタッフミーティングで、全保健スタッフにフィードバックを伝えます。

2020年始めから実施している活動ですが、以前と比べ、保健センタースタッフの能力が上がったと、そして対応がよくなり、保健センターに来院しやすくなったという声が、多くの地域住民から上がるようになりました。
保健センタースタッフからも、自分の技術に自信が持てるようになった、以前より来院者から感謝されるようになりうれしい、といったコメントが聞けるようになりました。

技術指導にはホスピタリティについても取り入れていますが、なによりも保健センタースタッフ自身が自分たちのスキルに自信が持てるようになったことが来院者対応の質の向上につながっているようです。

医療従事者の能力向上は、保健制度の発展の大事な要素です。地道な努力ではありますが、長期的な医療制度の発展を目指していきます。

全ての人が健康で希望を持って暮らせるために、保健センタースタッフがこれからもより一層、村人の健康を守っていけるよう、PHJも活動を通して貢献していきますので、これからも温かく見守っていてください。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

小児科チーム連携会議を開催

ストゥントロン保健行政区で、小児科チーム連携(PCAT)会議を6月28日に開催しました。
会議には、ストゥントロン保健行政区長とスタッフ、地方病院スタッフ、ストゥントロン保健行政区管轄保健センタースタッフ各1名、またPHJからは石山所長とスタッフ1名が参加しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参加人数を制限しての開催となりました。

この会議は管轄地の子どものケア関する問題を共有し、その解決策を導き出すこと目的としています。
今回は2021年前半の活動の振り返りを行いました。


保健行政区長が、2021年度前半の子どものケア関連の保健サービスについて、好事例や問題点をプレゼンテーションしました。

その後さらなる子どものケアサービスの向上に向けた話し合いが行われ、
スタッフ同士の役割分担の効率化、記録の強化、カウンセリングのスキル向上、小児疾病統合管理(IMCI)の再研修実施などが解決策としてあげられました。

PHJでは、事業地で小児疾病統合管理と身体測定・栄養教育(GMP)の再研修を実施する予定です。
また、現在、保健行政区スタッフによる保健センタースタッフの子どものケア技術指導を対象4保健センターにてサポートしていますが、今後はストゥントロン保健行政区全12保健センターへと指導のサポートを拡大する予定です。
カンボジアの子どもたちの健康をより強固に支えていきたいと思います。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

市場で感染予防の衛生キャンペーンを実施

コンポンチャム州内で新型コロナウイルスの市中感染が拡大し、PHJの事業地でも新規感染者が確認されました。
PHJは区役所と連携し、6月26日、感染予防対策として衛生キャンペーンを行いました。

キャンペーンの対象地としたのは、人が集まる村の市場。

不特定多数の人々との接触が多い小売業の人々に感染予防のリーフレットとマスクを渡したり、スピーカーで感染予防のメッセージを流すなど、啓発活動を実施しました。マスクをつけていない人にも、その場で感染予防の大切さを説明し、マスクを配布して着用を勧めました。

本キャンペーンに協力・参加した区役所にもマスク500枚と消毒ジェル(30リットル)を寄贈しました。

【本事業は、大日本住友製薬株式会社様からのご支援により実施しています。】

出産後もケアが受けられる保健センターへ

事業地内の保健センターには「産後ケア室」があります。この部屋は緊急事態への対応はもちろん、産後の体を休め、心身のケアをしたり、育児に関する知識を伝えることは母子の健康にとって重要です。
しかし、3つの保健センターの産後ケア室は、設備が整っていません。
そのため、産後のお母さんと赤ちゃんは産後直後でも、自宅に帰っていました。

オームルー保健センター産後ケア室
ピアムコスナー保健センター産後ケア室

 

アレアッタノー保健センター産後ケア室

そこで、クラウドファンディングを実施し、いただいたご寄付を設備購入にあてました。
PHJスタッフが備品の購入から、キャビネットの組み立てなどすべてを行いました。電気系統やドアの整備を行った産後ケア室もあります。



各産後ケア室には主に車いす、点滴台、カーテンレール、カーテン、網戸、マットレス、キャビネット、棚、扇風機、医療者用デスクなどを整備しました。

設備支援後のピアムゴスナー保健センター産後ケア室

3つの保健センターの産後ケア室に必要な設備が整いました。これからは産後の母子がゆっくりとケアを受けられることを願います。

カンボジア 産後母子ケア支援オンライン寄贈式

4月7日(水)に ホテル日航成田にて、成田コスモポリタンロータリークラブのご支援によるPHJカンボジア 産後の母子ケア支援プロジェクトのオンライン寄贈式を開催しました。
本来であれば、ロータリークラブの方がカンボジア現地へ訪問し活動を視察する予定でしたが、今回は世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡航ができなかったため、ZOOMによるオンラインの寄贈式を行うことになりました。
(オンライン寄贈式の会場で寄付者代表挨拶をする成田コスモポリタンロータリークラブ 藤崎政弘会長)
オンラインによる寄贈式は初めての試みでしたが、日本とカンボジアの画面を隣り合わせにして、画面上であたかも日本からカンボジアへ寄贈品を手渡しているかのような演出もできました。

(藤崎会長から寄贈品を受け取るPHJ藤野部長。画面上でもPHJカンボジア石山所長が寄贈品を受け取っているように演出)
こちらはカンボジア側で撮影した写真。左から州保健局 母子保健部 部長補佐スタッフ Ms.Penh Sokunthy、保健行政区 母子保健担当 Mr.PhaiVichet

映像による活動報告(医療者に対するスキル向上支援)も行いました。

映像の最後にサプライズで、PHJカンボジアスタッフ スレイレアンが最近出産した女の子の名前を紹介。私たちも驚きだったのですが、なんと、「ナリタ」と名付けたとのこと。
2019年に成田コスモポリタンロータリークラブの皆さんがカンボジアを訪問しスタッフと交流した時に、とても楽しかったこと、そしてナリタという響きがかわいい、ということで名付けたそう。

その後、藤崎会長が挨拶の中でぜひナリタちゃんに会いにカンボジアを訪問しましょう!!と言ってくださいました。
支援者の皆様が現地訪問できなかったことは残念でしたが、クラブの皆様が寄贈式に参加いただけたことなどオンラインだからこその良さも体感できました。

クポッタゴン保健センターの入り口舗装

雨季は水たまり、乾季は砂埃で、診療所へ訪れる人を困らせていたクポッタゴン保健センターの入り口ですが、舗装工事が行われました。
こちらの工事費用は2021年2月15日に終了したクラウドファンディングで集まった寄付を使っております。


最初に路床となる土や砕石を準備

土をひいて

石をひきます。

その後、針金をひいて

コンクリートを流し込み
完成しました!

ウェルカム!という感じですね。
アクセスがしやすくなって、患者さんも、診療所のスタッフも喜ぶでしょう!!

医療スタッフ向けの栄養研修を実施

事業地では低栄養、特に発育阻害と低体重の子どもが多いといった課題があり、
医療スタッフに対する栄養に関する知識や技術の強化が必要とされています。

JICA広報誌mundi2020年1月号より抜粋

こうした背景から
医療スタッフに向けた栄養研修を継続的に開催しています。
1月も、保健省のスタッフが講師となり
保健行政区スタッフと州保健局スタッフを対象とした栄養研修とともに
各保健センターの全スタッフ対象の基礎的な栄養研修も行いました。

来院した子どもの健康状態を確認

イエローカードの使い方を確認しました。イエローカードは出生体重や予防接種履歴、子どもの成長度合いを記載するもの。カラーで作られており、子どもの成長の経過や、月齢と比較して低体重か否かを知ることが可能な便利なツールです。

イエローカードの使い方を担当の看護師と確認

 

栄養に関する基礎的な講義を保健センタースタッフに向けて実施している様子。

 


子どもの身体測定実践
子どもの身体測定実践

8月に行った栄養研修に参加できなかったスタッフも参加でき、保健センタースタッフに喜ばれました。
参加したスタッフは学ぶことに意欲的でした。参加者からのニーズもあり、栄養研修は再度開催する予定です。


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