保健ボランティア会議を開催

支援対象3か所の保健センターにて、今期最後の保健ボランティア会議を開催しました。保健センターによって毎月ばらつきはあるものの、今月の同会議への参加率はまずまずだったと言えます。保健ボランティア会議を開始して半年が経過しましたが、現地スタッフによると、保健ボランティア会議を続けてきたことで、見た目にも変化が見られるようになりました。
例えば、保健センターの衛生環境が改善され、保健センタースタッフがきちんと白衣を着て、時間通りに出勤する等、保健センターの規律が改善されてきていることがうかがわれます。
・各保健センターの会議参加者
Orm Leu(オムルー)保健センター 11名中8名  参加率73%
Areak Tnaot(アレックタノット)保健センター 7名中4名 参加率57%
Khpop Ta Ngoun(クポッタゴーン)保健センター 11名中7名  参加率64%

保健ボランティア会議での話し合いの様子

保健ボランティア会議で真剣にメモを取る参加者

助産師訪問モニタリングを実施

保健センター助産師のモニタリングを実施しました。保健行政区内の11保健センターのうち、今月は3モデル施設を含む7施設でモニタリングを実施。各保健センターを訪問し、チェックリストを使用して助産師の母子保健サービス(妊婦健診)に関するスキルを評価した結果、一番低い成果率の村で70%、高い村は87%、8保健センターの平均は79%と高く、全体的にスキルが高いことがうかがえました。
また、6月に病院実習に参加した4名の助産師全員をモニタリングし、3名が平均点以上の結果。病院実習に参加した助産師の方が、参加しなかった助産師よりも必ずしも結果が良い訳ではないという意外な結果も出ました。元々の各助産師の知識・スキルや能力の違いにもよりますが、いずれにせよ病院実習に参加してすぐに結果の出るものではないため、助産師の知識やスキル改善を目指し、引き続きモニタリングを実施していきます。

妊婦の血圧を測る保健センター助産師

妊婦に対して問診を行う保健センター助産師

実習形式の助産師トレーニングを開催

6月3日~29日の27日間に亘って、実習形式の助産師トレーニングを開催。4名の保健センター助産師がコンポンチャム州病院にてトレーニングを受けました。
本トレーニングの目的は、普通分娩を一人でも介助できるようになること、危険サインを察知し速やかに病院に搬送できるようになることでした。
助産師育成計画策定会議で合意した内容に基づいて、実習及び講義を実施。一日のスケジュールは、午前に病院で実習を行い、午後は講義を実施し、夜は交替で病院で勤務しながら実習を行いました。
参加した4助産師は皆とても意欲的に学んでおり、トレーニング開始前に実施した事前テストの結果(平均38%)に比べ、トレーニング後に実施した事後テストの結果は平均94%と大きく改善。また、全4助産師が目標としていた普通分娩介助10回をクリアしました。

助産師トレーニングで実習を行う保健センター助産師(中央)とトレーナー

お産で使用する器具の手入れを行う保健センター助産師

助産師トレーニングで講義を受ける4名の保健センター助産師

保健知識ワークショップやトレーニングなどを開催

保健ボランティア対象の保健知識ワークショップ、ファシリテーションスキルトレーニングを3保健センターで2日間にわたって開催しました。今回の保健知識ワークショップでは「下痢・衛生」、「デング熱・マラリア」の2トピックを扱い、ファシリテーションスキルトレーニングでは保健教育実施時の村人へのプレゼン方法や、保健教育フリップチャート(紙芝居)の使い方等についてトレーニングを行いました。
参加率については、保健センターによりばらつきがあり、これまで比較的どのミーティングやワークショップでも参加率の高かったKhpop Ta Ngoun保健センターの参加率があまり良くありませんでした。原因について現地スタッフや保健センタースタッフと分析し、フォローしていく予定です。
Orm Leu保健センター 26名中22名(85%)
Areak Tnaot保健センター  10名中6名(60%)
Khpop Ta Ngoun保健センター  14名中8名(57%)
※ファシリテーション:会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むよう、また成果が上がるように支援することをいう。

モニタリング評価ワークショップで説明に聞き入る参加者

保健ボランティア対象のファシリテーションスキルトレーニングで保健教育フリップチャートを使用して発表する保健ボランティアの男性

保健ボランティア対象のファシリテーションスキルトレーニングで保健センター助産師の説明に聞き入る参加者

保健センターが明るい雰囲気に一新!

保健センター設備支援として、Areak Tnaot保健センターの外壁及び内壁のペンキ塗りを行いました。業者にきれいにペンキを塗ってもらい、見違えるように明るくなりました。
「同保健センターは建物の老朽化が進んでいるため、毎年何かしらの改修・改築を行って、見た目にも魅力的な保健センターとなるよう努めたいです」(所長)
また、Orm Leu保健センター区域の井戸のポンプが壊れてしまい、是非支援してほしいとの依頼を保健センター長より受け、ポンプを提供しました。ただ、ポンプの使い方にも問題があるようであるため、助言を行った他、定期的にモニタリングを実施してポンプが適切に使用されていることを確認する予定です。

改装前の保健センターはかなり老朽化が進んでいました

内装も手を入れて、明るい室内になりました

すっかりきれいになり、黄色が印象的な外観に

大勢の人が利用しやすい施設を目指します

コンポンチャム州でモニタリング評価ワークショップを開催

海外事業部・中田が、コンポンチャム州の事務所で現在の事業に関するモニタリング評価ワークショップを開催しました。3日間のプログラムは、プロジェクトサイクルマネジメントとは何か、モニタリング評価プロセス及び指標の使い方などの内容。現地スタッフがモニタリング評価ワークショップを自分達で開催できるようになることを目的としています。今回実施したワークショップを5月に保健行政区スタッフ、保健センタースタッフを対象にクメール語で実施する予定です。
また、支援先の村で村長との会合、小学校の清掃活動の指導なども行いました。

 
 
 
 
 
中田が現地スタッフにワークショップの概要を説明

 
 
 
 
 
半年に一度の事業計画を見直す作業中

 
 
 
 
清掃の習慣を指導するため、支援先の敷地内のゴミ拾いをする小学生

 
 
 
 
 
支援先の村長と物資についての現状を確認
 

助産師研修のため日本から専門家を派遣

今月は、保健行政区スタッフの能力強化のための活動、保健施設の機能強化活動、保健人材能力強化(助産師)活動を中心に行いました。その中から保健人材能力強化(助産師)活動について詳しくご紹介します。
助産師研修計画策定のため、過去にJICAの母子保健事業に参加された経験をお持ちの吉野八重先生(北里大学准教授)を日本から招き、ワークショップを開催しました。吉野先生が過去にブラジルで従事された母子保健プロジェクトのDVDを上映した他、助産師のスキルに関する講義を行っていただきました。また、支援対象モデル保健センター、州立トレーニングセンター等を視察いただき、カンボジアの医療の実情を知っていただきました。

当団体スタッフ(写真左側の二人)と共にリファラル病院を
見学される吉野先生(写真右)

助産師研修計画策定ワークショップで研修計画について話し合う様子


トレーニングセンターでの新生児蘇生の演習

演習で使用する助産教材。整理されているが、故障して使用できないものも多い
今回の視察から、吉野先生は、専門家の教育には非常に長い時間と労力を要し、現場の助産師たちが困難に感じている優先度の高い問題にフォーカスしてバックアップ体制を整えていくことが必要との見解を示されました。

住民意識向上活動と助産師の能力把握

今月は住民意識向上活動と助産師能力の把握の二つを紹介します。
■住民意識向上活動
住民意識向上においてキーパーソンとなる保健ボランティアと保健センター管理委員会。
彼らの活動状況や会議の頻度について聞き取りを行いました。
その結果、どの保健センターでも保健ボランティアも保健センター管理委員会もあまり活発に活動している様子はありませんでした。
ただし、保健ボランティアについては、保健センターで定期的に会議等は実施していないものの、
村では様々な手助けをしたり、患者を保健センターに送り届けたりといった活動は実施しているようでした。
またPHJのプロジェクトや目的について保健ボランティア及び保健センター管理委員会メンバーへ説明し、理解を深めてもらうため
保健ボランティア及び保健センター管理委員会に対するプロジェクト説明会を実施しました。

■助産師技術能力の把握
助産師トレーニング計画の策定に向け、支援対象地の保健センターの助産師の助産知識やスキルを知るために、評価を行いました。
対象となる助産師数は18名(准助産師14名、フローティングスタッフ*4名)。
*フローティングスタッフとは、助産師の資格は有していないが、保健センターで出産介助を行うスタッフのこと。助産師の数が足りていないためにフローティングスタッフが存在する。

評価の方法としては、筆記試験及び実技試験を実施しました。
筆記試験については、出産や産後健診に関して。
実技試験については、妊婦健診及び家族計画に関して、助産師が患者に対して診察を行っている様子を観察し、チェックリストを使用して知識やスキルの確認を行いました。

結果としては
筆記試験については、合格ラインに達した人が多かったものの、
実技試験については、合格ラインの点数を獲得した人が1人もいませんでした。
今回の試験により、助産知識については比較的高そうであるが、臨床においては知識やスキルを適切に実践できていない助産師が大多数だということがわかりました。

助産師・TBA(伝統的産婆)の話し合いを開催

PHJでは、医療知識のないTBA(伝統的産婆)の介助による出産は危険だとして、助産師の介助による出産を奨励しています。
PHJの支援開始前、助産師による介助は47%程度でしたが、現在は90%以上になりました。
このように活動の成果は表れていますが、1月の助産所・診療所での出産は56件、病院搬送件数6件、 そして1件だけTBA(伝統的産婆)の介助による出産がありました。
支援地の村では、コストが安いという理由などで 医療知識のないTBAの介助で出産する人もわずかにいます。 そこで伝統的産婆の方々にも 安全なお産への理解を深めてもらうため 助産師との話し合いの場をつくりました。

話し合いの場では、TBAがどのような仕事を担っているか。各村との助産師さんとの関係は構築できているか、といったことを中心に話をしました。

話し合いと調査の結果、ほぼどの村のTBAも一人で出産介助をすることはなく、
助産所に連れて行ったり、付き添ったり、生まれた赤ん坊を沐浴したりといったように、
お産の手伝いをしているようでした。

助産師とも関係が構築されており、仕事内容としては補佐的なものに限られているようです。
全体的には改善されているようなのですが、TBAによる出産がゼロではないので、
今後もTBAとの関係を維持しながら細かな支援が必要だと感じています。

ストゥントロン保健行政区能力強化支援スタート

今月は、本プロジェクトの4つの柱のうちの1つである「保健行政区能力強化」を
スタートしました。
あらためて事業目標をおさらいすると、
「保健行政区を中心に地域保健システムが機能することにより
妊産婦や乳幼児が適切な保健サービスへアクセスできる。」
そして「保健行政区能力強化」を具体的に説明すると、
保健行政区による保健センターの活動の管理・監督機能の
強化、となります。
つまり、プロジェクトの根幹にかかわる重要な活動であることが
わかります。
まずこうした活動を行うに当たり、プロジェクトの目的について
理解を深めてもらうため、関係者への説明会を行いました。

さらに、活動において必要となる設備(プロジェクターやパソコン、テーブルなど)
支援を行いました。

その後3日間のファシリテーション研修を保健行政区スタッフや、保健センタースタッフ、
またPHJ現地スタッフが受けました。演習や討論が多く盛り込まれ、充実した研修だったとのことです。


さらに計画立案研修も3日間行われました。
この研修は、今後3年間のプロジェクト計画について、PHJスタッフだけでなく保健行政区スタッフなどとともに考えることで
より現状に即したプロジェクト計画を立案し、ともに事業の実施・管理を行うため。
活動を進めるパートナー同士で意思統一を図る、重要な研修といえます。

以上が、今月実施した保健行政区能力強化の支援活動となります。


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