風習に対する考え方や行動を改善するには

コンポンチャム州の事業地には妊産婦の健康を害する恐れのある風習が残っていました。
たとえば、ベッドの下に火をおこした炭を置いて母子を温める、冷えるときに妊産婦に飲酒をさせる、など。
保健センターにもこうした風習を改善するための啓発ポスターが貼ってあります。

PHJが進めている保健教育でもこうした風習に対する考え方を見直すように地域住民に求めています。しかし風習は地域に定着しているため、行動を改善するには時間がかかります。
そこで鍵となるのが、PHJが育成した母子保健ボランティアさんによる保健教育です。彼女たちは戸別に家庭を訪問し、妊産婦を含めた家族を対象に母子保健教育を行います。

はじめは風習が健康を害する可能性を説明しても家庭によっては聞き入れてもらえないこともありましたが、彼女たち母子保健ボランティアが継続的に訪問することで、意識や行動が良い方向に変化しています。

PHJの事業期間は残りわずかとなりますが、コミュニティの健康改善に寄与する母子保健教育が継続されるよう、母子保健ボランティアの自立支援を進めてまいります。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

業務の改善につながる保健センタースタッフの会議とは

保健センターでは月に一度会議を開き、提供するサービスや勤怠に関する問題点を共有し、改善に向けた話し合いが行われます。
会議では来院状況や勤怠といったセンター内の情報だけでなく、地域住民の健康状況や保健センターに対する意見などもこの場で共有されます。

以前は会議でスタッフが発言しない傾向にありましたが、最近では発言が増え、改善に向けた話し合いができるようになっているため、会議を重ねることでよい変化が生まれています。

たとえば、保健センターのワクチン担当のスタッフが、センター内のワクチンが欠品し保健行政区に相談しても供給が間に合わないという状況を
共有したところ、保健センター長が近隣の保健センターに連絡し、ワクチンを供与してもらうことができました。

また、夜に出産することになったときに保健センターに助産師がいるかわからず不安、という妊婦さんからの声で、
助産師さんの夜勤が強化された例もあります。

会議でのコミュニケーションが、地域の保健状況を改善する一つのカギとなっています。
【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

緊急トリアージの研修

8月29日から3日間、緊急トリアージの研修を、16の保健センター、4保健行政区、郡病院のスタッフを対象に行いました。講師となったのは保健省の職員、国立小児病院医師、州保健局母子保健部長、州病院小児医師です。

以前、緊急にケアが必要な子どもを村から保健センターに搬送する手順書と仕組みを導入したところ、村から保健センターへの搬送件数が増加しました。

しかし、重病の子どもの緊急な対応や保健センターから郡病院への緊急搬送の判断について適切な知識を持っているスタッフがほとんどおらず、対応が間に合っていないことが判明しました。
そのため、保健センタースタッフ及び郡病院スタッフの緊急対応能力を向上するため研修が実施されました。

保健センタースタッフと郡病院スタッフの緊急トリアージの評価能力が向上し、村・保健センター・郡病院 の切れ目のない連携が促進されることを期待しています。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

健康を守る情報共有の仕組みづくり

保健センターにて、保健ボランティアと母子保健ボランティアの合同会議が行われました。

互いに支え合うコミュニティを目指して、村での情報共有の仕組みづくりとその実践について話し合いが行われました。
カンボジアの農村地でも多くの地域住民がスマートフォンを手にしています。

情報共有の方法としては、Facebook やLINE、テレグラムといった多くの人が利用しているSNS を活用していくことが確認されたました。

一方でスマートフォンを所持していない家庭や、雨期や遠隔地で円滑な共有ができない状況などの問題やその場合の対応について多くの参加者から意見が出て、有意義な会議となりました。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

活動のモニタリングと評価のワークショップ

こちらはPHJカンボジア事務所。スタッフが床の上で模造紙を広げて行っている作業は、事業を進めるうえで重要な現状把握や評価。現地スタッフが主体となって活動のモニタリングと評価のワークショップを行っています。
模造紙に現在の事業の進捗状況や成果を記載し、課題があれば、その解決策を考えながら記載していきます。

このワークショップは年に二回実施していますが、今回の評価は比較的良いものでした。昨年は新型コロナウイルス感染拡大で、保健教育や研修などの集会に対する規制があったことで活動そのものが実施できていませんでしたが、今年は活動はほぼ予定通りに実施されています。

現在新型コロナウイルス感染拡大が収まりつつあり、活動も制限なくできるようになりましたが、昨年の経験から、地域住民は習慣的に衛生に気を付けるようになっています。

この後、カウンターパートである保健行政区ともこの情報を共有しながらワークショップを行います。

事業もほぼ終盤となり今後は村での保健教育活動が中心となりますので、地域住民それぞれが自分の健康を守れるよう事業を進めます。
【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

新たに考案した離乳食の調理実習と実食

事業地内の村で実施している保健教育。講義のあとはクイズを行うなどして知識の定着化を図っています。

5月の保健教育では保健や栄養に関する講義だけでなく調理実習も実施しました。 PHJカンボジア事務所で考案したレシピ
を活用して、栄養豊富なおかゆの離乳食を作りました。

ポイントは事業地内の畑の作物や市場など、身近で手に入りやすい食材を使うこと。また、作る手間を感じさせないよう離乳食と大人用の食事を同時に作れるよう工夫されています。



出来上がった離乳食を試食。赤ちゃんや子どもたちにも好評です。


【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

医療スタッフの技術・知識の定着を目的とした栄養研修を開催

5月4~6日に医療スタッフに向けた子どもの栄養研修を開催。
今回は再研修ということで、技術・知識の定着を目的に実施しました。

身体の発育が盛んな乳幼児時期の栄養の良否は、その後の成長・発育に大きく影響します。
また、現在なお世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっていますが、
適切な栄養摂取による免疫力向上は、こうした感染症の感染の防止にもつながります。
当初栄養研修は予定されていなかったものの、事業地の幼児の栄養状況を改善したいとの
現地パートナーの要望により開催しています。

前研修では子どもの栄養状態を計測方法などを演習
記録や栄養状況を書き込む参加者

ストゥントロン保健行政区において医療スタッフを対象とした栄養研修が行われたのは初めてとのこと。
研修を受けた看護師の一人は栄養面でのケアに関する知識や技術を身に着ける
機会に恵まれたことを喜んでいました。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

多忙なお母さんにやさしい栄養満点の離乳食とは

栄養教育の一環として離乳食のレシピの開発を行いました。

まず事業地内の村で手に入る畑の作物や市場で売っている食材を調べました。
また養育者や保健ボランティアにコミュニティでの栄養摂取状態を聞き取り調査しました。

こうした調査をもとにPHJカンボジア事務所でレシピを考案。

離乳食の作り手となる村のお母さんは家事や畑仕事と多忙なので、食材は身の回りで手に入るもので、かつ、離乳食をつくる手間を感じさせない工夫が必要です。

調理の過程で二つに分けることで離乳食と大人用の食事を同時に作れるように考えました。

離乳食は塩、砂糖入れないので、カボチャやサツマイモで甘みをつけるようにしました。

最後はスタッフが味見。赤ちゃんも大人も満足できる離乳食完成です!これから離乳食の実習に活用していきます。
【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金より実施しています。】

産前・産後の健康促進用リーフレットを作成

妊産婦や新生児の健康促進のため産前と産後用にリーフレット各1,000部を作成し、対象となる保健センターに寄贈しました。

保健センターに来院する妊産婦さんに、スタッフがリーフレットを使って健康や栄養に関するアドバイスを行います。リーフレットは妊産婦さんに手渡します。

口頭の説明だけでは忘れてしまうことが多く、何度も読み返せるリーフレットを配ることで、母子の健康向上に貢献することを目的としています。

リーフレットは、保健省と州保健局にガイドラインに沿っているかを確認いただき、保健行政区や保健センターのスタッフには地域住民に伝わりやすいものになっているかを吟味していただくなど、現地の保健行政機関からの協力を得ながら作成しました。
(イラストや写真を多用したリーフレット)

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金より実施しています。】

小児疾病統合管理(IMCI)の再研修

保健センタースタッフに対する小児疾病統合管理(IMCI)の再研修が1月に実施されました。
保健省と州病院の医師が講師となり、州病院にて5日間開催されました。

子どもの病気のサイン、栄養状態確認、診断とケア、感染症の治療と予防、食生活などの講義が行われました。

州病院に診察に来ている子ども(低体重)にも来てもらい実際の症例を学びました。

講義後に、州病院の小児病棟や市内の保健センターを訪問し、研修講師による管理指導のもと講義内容にそった実習も行われました。

研修後は知識の定着を確認するテストも行われました。

 


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