離乳食の調理実習と栄養教育

子どもの成長促進・健康向上は、普段の食事や生活習慣が大きく影響します。そのため、各家庭でお母さんをはじめとする養育者が正しい知識や調理法で子どもを養育できるように働きかける必要がありました。

PHJは2021年11月、12月を通して、事業対象地の全34村で保健教育を実施しました。2歳以下の子どもの離乳食の調理実習と栄養教育をしました。また、それと同時に、新型コロナウイルス感染防止を含めた衛生教育も行いました。

参加者は、普段家庭で作っている離乳食との違い(形・色・栄養など)を確認しました。

また、それと同時に、新型コロナウイルス感染防止を含めた衛生教育も行いました。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

カンボジア事業第3年次の日本NGO連携無償資金協力の署名式典

2022年1月19日(水)に、日本NGO連携無償資金協力署名式典が行われました。

同式典では、三上正裕駐カンボジア特命全権大使とPHJカンボジアの石山所長との間で
「コンポンチャム州子どものケア支援ネットワーク強化事業(第3年次)」について贈与契約書に署名を行いました。
同式典では、三上大使がスピーチの中で
本式典に参加しているPHJを含む3団体の活動を紹介し、
地方部における地域住民により密着したきめ細かい支援を行うことの大切さ、
そしてCOVID-19 が世界的に問題となる中であっても日本としては、今後とも、
国際協力NGOの皆さまと連携し、様々な課題解決のお手伝いしたいと述べました。

続いてPHJカンボジア事務所長の石山が、日本国民及び政府への感謝の意を表明するとともに、
着実に事業を推進していくことを約束しました。

下記、石山所長のスピーチです

「三上大使閣下、 在カンボジア日本大使館の皆様、 ストゥントロン保健行政区長 イム医師
この度日本NGO連携無償資金協力贈与契約を締結させていただきましたこと、特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン を代表しまして深く感謝申し上げます。

生まれるということ、これはすべての人間が経験する尊い出来事です。出産は、お母さんにとっても、生まれてくる赤ちゃんにとっても、人生の中で最も体力を使う大仕事です。産後休み、きちんと栄養をとるかどうかで、その後の母子の健康に大きく影響します。だからこそ産後ケア室は、世界はあたたかい場所であるということを赤ちゃんに教えてくれる大事な場所、こんな風に私は考えています。

事業地のクポッタゴン保健センターで、出産後すぐに帰宅するお母さんをたくさん見てきました。大半のお母さんは、出産後、数時間たらず、なかには1時間ほど保健センターの分娩室にあるベッドに滞在した後、そのままバイクに乗って帰路に向かっていきました。 道路のほこりにまみれになりながら、産まれたばかりの子どもを抱えて辛そうに家路へと向かうお母さんの姿は、今も忘れられません。

しかし、今は、ODAの支援で、クポッタゴン保健センターに産後ケア室が建設されたため、
お母さんと生まれたばかりの赤ちゃんが、快適な産後ケア室で十分休んでから、帰宅できるようになりました。2020年、建設が完了して以降、たくさんのお母さんとその家族の笑顔見ることができています。

これは、単に産後ケア室を建設しただけでなく、現地のパートナー、保健センタースタッフや、保健ボランティアなど関係者全員が協働し、自発的に産後ケアの大切さを地域住民に対して啓発・教育したからこその結果です。

日本の政府が長い間、支援の理念としている、自助の努力・主体的に取り組む姿勢を通じて、現地の自立を目指しながら、現地のパートナーとお互いに協力し合い、支え合い、学びながら私たちは支援を行っています。

前年次では保健センタースタッフや保健・母子保健ボランティアの能力強化を行い、地域住民対象の村での保健教育活動を始めました。 3年次も引き続き、村での保健教育活動を行い、家庭で養育者が子供の健康を守れるよう努めていきたいと思います。今回、本事業の最後の年となりますが、事業の現地へのオーナーシップの移行を効果的に行い、さらなる現地の自立を目指し、事業完了に向けて精進していきます。
この事業がカンボジアの未来の発展と希望に大きく貢献するため、また、日本とカンボジアの友好関係を深めるために精一杯行わせていただきます。
最後に、直接事業にかかわるすべての方と全ての日本の方々に対し、再度感謝を申し上げたいと思いす。
ODAを通して、全ての日本国民と一緒に活動できること、とてもうれしく誇りに思っております。どうもありがとうございました。」

ご支援者の手作りマスクとスカーフを孤児院へ寄贈

PHJのご支援者のおひとりが、現在も続く新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のなかで、カンボジアに何か支援をしたいと手作りマスク23枚、スカーフ50枚を寄贈してくださいました。マスクは一つ一つご支援者が丁寧に手作りしたもの。

寄贈いただいたマスクとスカーフはPHJカンボジア事務所に送り、10月にプノンペンにある政府運営のKolap4孤児院で暮らす子ども達に渡してもらいました。
孤児院などの人が密集して生活している施設などではクラスターが起こりやすいため、マスクの感染予防の品物は大変喜ばれます。この寄贈の際も、敷地内で新型コロナウイルス感染者が確認されたため、入れませんでした。

思いがけないプレゼントに子どもたちは大変喜んでいました。
こうしたあたたかな「お気持ち」を糧にピープルズ・ホープ・ジャパンは
今後もカンボジアの支援活動に精一杯取り組んでまいります。
ご支援まことにありがとうございました。

産後の母子ケアにむけた取り組み

産後の母子の健康改善を目的とした取り組みの中で、産後検診の受診を促進するために、産後検診を受診した産婦に配布する子育てキット計597個を保健センターに寄贈しました。その後、実際に産婦さんに配られています。産後検診を進めることで、母実施健康における異常の早期発見及び早期の適切な治療が期待されます。子育てキットの内容は、タオル、腰巻、ベビーパウダー、ベビーソープ、爪切りで、主に生まれた赤ちゃんの衛生状態を保ち、感染症の予防を目的としています。

また、保健センターの管轄村内で活動する保健ボランティアを支援するために、充電式懐中電灯を計109個寄贈しました。充電式懐中電灯により夜間の急な相談や暗い部屋でのケアの際の光源となります。太陽光で充電できるため、長期的に繰り返し活用できます。

【本事業は、成田コスモポリタンロータリークラブからのご支援により実施しています。】

ボランティアの能力強化2_離乳食の調理実習

前回報告しました保健・母子保健ボランティア対象にとした能力強化研修 2日目の調理実習の様子を報告します。


当初より予定していた離乳食の調理実習を含めた栄養改善の取り組み。2020年7月に医療者対象のSAM・栄養研修の際に、近隣に住む養育者の子どもの腕回りを測り栄養状態を確認する実習を行いました。すると、ほとんどの子どもが栄養失調状態と判明し、栄養改善のための取り組みの必要性を再認識しました。

栄養状態を改善する取り組みとして、子どもの栄養に関する保健教育と、栄養たっぷりの離乳食の調理実習を村で実施することとなりました。今回は事前の演習として実際に村で離乳食の調理実習をしました。

一部の材料をその場で調達。

 

ガスは通っていませんので、炭から火をおこします。

実食。この赤ちゃんは離乳食を食べるのが今回初めてでした。

また、午後は、コロナ感染対策についての衛生教育も行いました。

村での保健教育用の栄養、衛生、小児ケアに関するポスターを配布しました。

 

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実しています。】

誰一人取り残さないために― ボランティアの能力を高める

PHJでは、コミュニティと保健センターの架け橋となる「保健ボランティア・母子保健ボランティア」の能力強化をしています。
彼らは、コミュニティの健康改善のために自らボランティアとなり、地域住民に対して保健教育や啓発活動を行い保健知識の向上に貢献しています。
特に新型コロナウイルス感染拡大が続くいま、地域住民に感染予防の保健教育を効果的に実施できるのは、コミュニティの一員で住民から信頼されているボランティアたちです。
保健教育の要である保健・母子保健ボランティア対象にとした能力強化研修を、ピアムゴッスナー保健センターで9月末に実施しました。

正しい手洗いの方法を実演
研修会場のピアムゴッスナー保健センター

研修や大規模の会議が禁止されているものの、州保健局がボランティアへの研修の重要性を理解し、開催実現に協力してくださいました。
研修テーマは、「子どもの栄養とコロナ感染防止対策を含めた衛生」。
少人数に抑えるため参加者は2つのグループに分け、各二日間の研修開催しました。
1グループは11名、もう一つのグループは9名の保健・母子保健ボランティアが参加しました。
ファシリテーターは州保健局スタッフ2名が担い、オブザーバーとして保健行政区の母子保健担当、州保健局スタッフが各1名参加しました。

1日目の内容は、母乳育児や栄養素、離乳食の作り方を含めた子どもの栄養教育、そして、手洗いなどの衛生教育でした。
2日目については次回のレポートで、報告します。

コロナ禍での研修で、不安もあったと思いますが、ボランティアのみんなは常に明るく時には冗談に笑いながら学んでいる姿をみて カンボジア人の力強さを感じました。
困難な時だからこそ、誰一人取り残さないためにボランティアさんの活躍が必要です。

各ボランティアに、布マスク2枚と消毒液1本配布。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

継続は力なりー医療者の定期的な技術指導サポート実施―

講義を1回受けただけで、その内容を理解し、身につくという人は一体どれだけいるでしょう?
PHJでは医療従事者、主に保健センタースタッフの能力強化・向上のため、研修を実施しています。
しかし、1回の研修だけではスキル・知識の維持が難しい、忘れてしまう、という声が参加者や関係者から上がっていました。

そこで、再研修やコーチングの実施などと共に、定期的な技術指導サポートを行っています。毎月1回、講師となる保健行政区スタッフが対象保健センターに赴き、保健センタースタッフが実際に来院者を診ている現場で直接指導しています。指導後、保健行政区スタッフは、保健センタースタッフミーティングで、全保健スタッフにフィードバックを伝えます。

2020年始めから実施している活動ですが、以前と比べ、保健センタースタッフの能力が上がったと、そして対応がよくなり、保健センターに来院しやすくなったという声が、多くの地域住民から上がるようになりました。
保健センタースタッフからも、自分の技術に自信が持てるようになった、以前より来院者から感謝されるようになりうれしい、といったコメントが聞けるようになりました。

技術指導にはホスピタリティについても取り入れていますが、なによりも保健センタースタッフ自身が自分たちのスキルに自信が持てるようになったことが来院者対応の質の向上につながっているようです。

医療従事者の能力向上は、保健制度の発展の大事な要素です。地道な努力ではありますが、長期的な医療制度の発展を目指していきます。

全ての人が健康で希望を持って暮らせるために、保健センタースタッフがこれからもより一層、村人の健康を守っていけるよう、PHJも活動を通して貢献していきますので、これからも温かく見守っていてください。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

小児科チーム連携会議を開催

ストゥントロン保健行政区で、小児科チーム連携(PCAT)会議を6月28日に開催しました。
会議には、ストゥントロン保健行政区長とスタッフ、地方病院スタッフ、ストゥントロン保健行政区管轄保健センタースタッフ各1名、またPHJからは石山所長とスタッフ1名が参加しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参加人数を制限しての開催となりました。

この会議は管轄地の子どものケア関する問題を共有し、その解決策を導き出すこと目的としています。
今回は2021年前半の活動の振り返りを行いました。


保健行政区長が、2021年度前半の子どものケア関連の保健サービスについて、好事例や問題点をプレゼンテーションしました。

その後さらなる子どものケアサービスの向上に向けた話し合いが行われ、
スタッフ同士の役割分担の効率化、記録の強化、カウンセリングのスキル向上、小児疾病統合管理(IMCI)の再研修実施などが解決策としてあげられました。

PHJでは、事業地で小児疾病統合管理と身体測定・栄養教育(GMP)の再研修を実施する予定です。
また、現在、保健行政区スタッフによる保健センタースタッフの子どものケア技術指導を対象4保健センターにてサポートしていますが、今後はストゥントロン保健行政区全12保健センターへと指導のサポートを拡大する予定です。
カンボジアの子どもたちの健康をより強固に支えていきたいと思います。

【本事業は、外務省日本NGO連携無償資金とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。】

市場で感染予防の衛生キャンペーンを実施

コンポンチャム州内で新型コロナウイルスの市中感染が拡大し、PHJの事業地でも新規感染者が確認されました。
PHJは区役所と連携し、6月26日、感染予防対策として衛生キャンペーンを行いました。

キャンペーンの対象地としたのは、人が集まる村の市場。

不特定多数の人々との接触が多い小売業の人々に感染予防のリーフレットとマスクを渡したり、スピーカーで感染予防のメッセージを流すなど、啓発活動を実施しました。マスクをつけていない人にも、その場で感染予防の大切さを説明し、マスクを配布して着用を勧めました。

本キャンペーンに協力・参加した区役所にもマスク500枚と消毒ジェル(30リットル)を寄贈しました。

【本事業は、大日本住友製薬株式会社様からのご支援により実施しています。】

出産後もケアが受けられる保健センターへ

事業地内の保健センターには「産後ケア室」があります。この部屋は緊急事態への対応はもちろん、産後の体を休め、心身のケアをしたり、育児に関する知識を伝えることは母子の健康にとって重要です。
しかし、3つの保健センターの産後ケア室は、設備が整っていません。
そのため、産後のお母さんと赤ちゃんは産後直後でも、自宅に帰っていました。

オームルー保健センター産後ケア室
ピアムコスナー保健センター産後ケア室

 

アレアッタノー保健センター産後ケア室

そこで、クラウドファンディングを実施し、いただいたご寄付を設備購入にあてました。
PHJスタッフが備品の購入から、キャビネットの組み立てなどすべてを行いました。電気系統やドアの整備を行った産後ケア室もあります。



各産後ケア室には主に車いす、点滴台、カーテンレール、カーテン、網戸、マットレス、キャビネット、棚、扇風機、医療者用デスクなどを整備しました。

設備支援後のピアムゴスナー保健センター産後ケア室

3つの保健センターの産後ケア室に必要な設備が整いました。これからは産後の母子がゆっくりとケアを受けられることを願います。


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