ミャンマーでの活動

ミャンマーにおける保健の課題

(農村地の民家と女性)

ミャンマーでは、産後の異常出血や妊娠高血圧症などの原因により、年間約2,400人の妊産婦さんが亡くなっています(1日あたり6.5人)。また、ミャンマーでは中絶は法律で認められていないことから、必ずしも安全とはいえない状況での中絶による死亡も多くみられます。これら妊産婦死亡の約76%が農村地で起こっています。(ミャンマー保健省2017)

長らく続いた国際社会による経済制裁や国家予算に占める保健分野予算の低さなど、さまざまな要因で、保健医療の環境や人材が不十分でした。2011年に始まった民政移管により、経済発展が進み、国際社会からの支援も受けながら、国民の生活と健康の向上が図られてきました。

しかしながら、2021年2月1日以降の国内情勢の変化が続く中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が同時に起きました。

このような状況の中、保健サービスへのアクセスが困難になり、自宅で出産することを選択する女性にとっては、難産や多量出血など不測の事態に対応できず、お母さん、そして生まれてくる赤ちゃんも命を落とす可能性が高まっているといえます。

ミャンマーの基礎情報
ミャンマーにおけるPHJの過去の活動

PHJの取り組み

ネピドー特別行政区レウェイ郡における妊産婦と新生児の健康改善のための保健システム強化支援事業


【背景】
レウェイ郡は、市街地と農村地が混在する特殊な地域であり、人口の 9 割は農村地に居住しています。妊婦健診・産後検診受診率、医療者による分娩介助率、施設分娩率を市街地と農村地で比較したところ、これらの基礎的な母子保健サービスの利用状況に顕著な格差があることがわかりました。
【活動概要】
農村地で、妊産婦が適切な保健サービスやケアを利用するための仕組みづくりを支援しています。母子が安全な環境で適切なサービス(妊婦健診、分娩介助、産後検診、新生児健診、予防接種)を利用できるように、現地の保健局、医療者、ボランティアと連携して、地域の保健システムの強化を支援しています。

活動の期間 2020年12月~2025年4月
実施地域 ネピドー特別行政区レウェイ郡
対象者 【直接裨益者】妊婦 5,115人および新生児5,065人(1年間の推計数)、母子保健推進員690人、補助助産師55人、助産師 83人、婦人保健訪問員 8人
【間接裨益者】地域住民 約30 万人
活動内容 1)妊産婦と新生児の保健サービスへのアクセスを向上する
2)郡保健局、医療従事者、コミュニティの連携を促進して、地域の保健システムを強化する
3)本事業の取り組みの普及を促進する
目指す成果 レウェイ郡の母と子が、地域の保健システムが強化されることを通して、適切な保健サービスを利用することで、妊婦の安全な妊娠と出産及び新生児の適切なケアが行われ、その取り組みの成果が他の郡に波及される。
資金 外務省日本NGO連携無償資金協力とサポーター企業・団体、個人の皆様からのご支援により実施しています。
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活動レポート

基礎情報

ミャンマー 日本
面積 68万平方キロ 37.8万平方キロ
人口 約5,753万人 約12,800万人
言語 ミャンマー語、シャン語、カレン語、英語 日本語
宗教 仏教 (87.9%)、キリスト教(6.2%)、イスラム教(4.3%)、 神道 46.8% 仏教 42.6%、キリスト教 2.5%、
その他 8.2%
平均寿命 70歳 85歳
出生率 2.2人 1.5人
成人識字率 76% 100%
乳児死亡率
(出生1000対)
36 2
5歳未満児死亡率
(出生1000対)
45 2
麻疹予防接種率(1回目) 91% 96%
妊産婦死亡率
(出生10万対)
250 5
訓練を受けた人による
分娩介助の割合
60% 100%
HIV感染率(15-49歳) 0.7% 0.1%未満

出典:国連児童基金(UNICEF) 「世界子供白書2021」、米国政府中央情報局(2022年)、日本政府文化庁(2021年)


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