妊婦搬送システム(トゥクトゥク)がスタートして半年
2012年3月にタノッチュム(TC)保健センターへ妊産婦搬送カート(トゥクトゥク)を寄贈してから、半年が経過しました。その前の準備期間から含めると、当対象地区への関わりは1年近くとなっています。頼りないと感じるTCの保健搬送システムが現実に目の前にあるのですが、それを横目に見ながらも、次の対象地区となるチュックサック(CK)保健センターでも支援を開始しなければなりません。さもないと、事業は何年かかっても終わりませんので。
新規活動をこれから立ち上げていくには、過去の例を学びに行くのが一番だということで、TC保健搬送システムの事例を視察しに行きました。当日は、TC保健搬送システム委員会のメンバーと視察参加者としてCK保健センター長、各村の村長、保健行政区長が参加し、総勢19名での視察となりました。私としては、TC保健搬送システムは手塩にかけて育て上げている最中であり、未熟であったのは承知の上、正直な所TCを視察地に充てて大丈夫だろうか、質問されてきちんと答えられるだろうかと心配でした。それでも、責任を感じている、改善点はまだある、夜間搬送はありがたい、収益はなくとも村人のために働ける、など村のために働いているという気持ちがとても強く感じられました。
また、会議中には、TCのドライバーから保健行政区病院長に直に次のような発言も聞かれました。“特に夜間帯、保健行政区の病院へ移送しても、そこから医師を見つけなければならなかったり、お金の話を先にしないといけなかったりし、診察までに時間がかかるため、すぐに対応してもらえるよう整えてもらいたい。”
この発言を聞いた時は、素直にとても嬉しく思いました。カンボジア人が目上の人に対してここまで言うことは、日本以上に難しい風習であるのですが、果敢に村のために意見したことが私にとっては何より誇らしくも思え、またドライバーがそこまで考えてくれたことに、大きな成長を見出しました。今後の発展にとても期待をしています。
カンボジア事務所 久米