ベトナム 乳がん早期発見事業

(期間:2011~2016 支援地:ハノイを含むベトナム北部の5省)

ベトナム女性にとって乳がんは3番目に多いがんで、ハノイでは100,000人当たり32人の女性が乳がんを患っており、その数は年々増加傾向にあります。しかしベトナムの保健システムでは十分に対応できていません。 (情報源:ベトナム国立がんセンター )
そこでPHJがタイで実施している子宮頸がん・乳がん検診推進事業で培ったノウハウ(検診推進のための呼びかけや、がんが 見つかった患者のフォローアップ方法など)をベトナムでもぜひ生かしたいとの思いから、2011年1月に乳がん 早期発見事業を開始しました。
事業開始3年目から、対象地域を北部の5省に広げて活動しました。

活動レポート

2016/02/26
2015/12/21
2015/05/29
2015/02/24
2015/01/29
2014/10/31
2014/05/28
2013/08/29
2013/07/23
2013/01/22
2012/07/25

活動内容

PHJタイ事務所の所長(看護師)がトレーナーとなり、ハノイのNPO (CASCD)、ベトナム ウィメンズユニオン(VWU)、女性自助クラブ、国立がん研究所(K病院)、ベトナム赤十字)と協力して下記次の活動を実施しています。

  • 乳がん自己触診法を普及するトレーナーの育成
  • 教材開発
  • 毎月対象地域と女性自助クラブを訪ね、乳がんに関する知識と自己触診の研修実施
  • 6か月ごとのプログラムのレビューと評価
  • 乳がん患者のフォローアップ (病院と連携し適切な治療を受けられるようにする)

目標と成果

第一期 一年度(2011) 目標
ハノイ市、ハイバトルング、タンシュアン区内6自治体に住む30-75才女性の70%(1,200名)以上が研修・触診実施
成果

  • ハノイ市の対象年令(30-75才)の女性1,234名(目標は全対象女性の70% 1,200名)が、 乳がんに関する知識と自己触診法を学びました。
  • 触診により異常なしこりが見つかった女性8名全員が病院に紹介され、精密検査を受けたところ3名ががんと診断されました。内、乳がんと診断された2名は乳房切除の処置受け、卵巣がん・子宮頸がんと診断された1名は子宮と卵巣を切除し、乳がんについては引き続き検査中です。しこりが見つかった残り5名のうち3名は検査中、1名は乳腺症のため経過観察中、1名は異常なしと診断されました。

第一期 二年度(2012) 目標
ハノイ市、バデイン、ドンダ区内の6自治体に住む30-75才の女性の70%(1,200名)以上が研修・触診実施
成果

  • 6自治体にすむ対象女性の70%を超える1,211名が乳がんに関する知識と自己触診を学びました。乳がん・自己触診の知識向上率は6自治体中5自治体で目標をクリアしました。
  • 触診により異常なしこりが見つかった14名の女性が国立がん病院へ紹介され、そのうち3名が乳がんと診断されで手術を受けました。

第二期 一年度(2013) 目標
ハノイを含むベトナム北部の5省で30-70歳の女性(3,633名)に対し研修・触診研修とベトナム・ウイメンズユニオンのスタッフ約30名をトレーナーとして育成
成果

  • 5省に住む対象女性3500名を上回る3794名が乳がんに関する知識と自己触診を学びました。乳がん・自己触診の知識向上率は59.2%から90.3%と31.1%向上しました。
  • 触診により異常なしこりが見つかった86名中76名は軽微の腫瘍でしたが6名は国立がん病院へ紹介され腫瘍を切除しました。10名が乳がんと診断されで手術を受けました。
  • トレーナーは41名が養成されました。

第二期 二年度(2014) 目標
ベトナム北部の5省で30-70歳の女性(5000名)に対し研修・触診研修とベトナム・ウイメンズユニオンのスタッフ約30名をトレーナーとして育成
成果

  • 5省に住む対象女性5000名を上回る6113名が乳がんに関する知識と自己触診を学びました。乳がん・自己触診の知識向上率は52.9%から92.4%と39.5%向上しました。
  • 触診により異常なしこりが見つかった16名中6名は病院で治療を受けました。
  • 異常が見つかった女性のフォローアップも実施しました。
  • トレーナーは41名が養成されました。

第二期 三年度(2015) 目標
ベトナム北部の5省で30-70歳の女性(5000名)に対し研修・触診研修とベトナム・ウイメンズユニオンのスタッフ約30名をトレーナーとして育成
成果

  • 5省に住む対象女性5000名を上回る7315名が乳がんに関する知識と自己触診を学びました。乳がん・自己触診の知識向上率は65.3%から89.9%と24.6%向上しました。
  • 触診により異常なしこりが見つかった29名中7名は病院で治療を受けました。
  • 異常が見つかった女性のフォローアップも実施しました。
  • トレーナーは41名が養成されました。
  • この事業の成果が評価され、事業終了の式典で、提携先のヴィエトナム・ウイメンズ・ユニオン本部は2016年から全国的なウーマン・ヘルスの一環としてこの事業を取り組むと宣言しました。

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